2014年

8月

15日

「アンネの日記」破損事件にみる海外と国内における報道の違い:「アンネの日記」破損事件クラウドファンディング報告・講演会に行ってきました

ALIS定例会特別企画 クラウドファンディング報告・講演会に行ってきました。

概要

日時:8月9日(土)14:00~(受付13:30〜)

場所:筑波大学春日エリア メディアユニオン3階共同会議室

タイムテーブル:

 14:00〜14:05:冒頭説明

 14:05〜14:25: 事件概要と調査報告/赤山みほ

 14:25〜14:55:日本最大級の読書SNSの中の人から見た図書館とアンネの日記破損事件/大西隆幸

 15:05〜15:35:図書館と資料毀損: 表現の自由の視点から/木川田朱美(欠席)

 15:35〜16:05:アンネの日記破損事件、海外での受け止めかた/アルファブロガーfinalvent

 16:05〜16:35:質疑応答

 16:35〜17:00:茶話会(フリートーク)

 (当日は木川田さんが欠席)

 

 

感想

「アンネの日記」破損事件を受け、被害図書館に「アンネの日記」を寄贈する目的で行われたクラウドファンディングの報告会に参加してきました。

実際の調査報告だけでなく、識者の方からの「アンネの日記」破損事件、及びクラウドファンディングへの考察が良い意味でとても面白く、参加して良かったと心から思えました。今回特に考えさせられたのは、「アンネの日記」破損事件からみる国内と海外のメディア報道の違いと、それに対して私達がいかに無関心かということです。詳しくは発表されたfinalventさんのブログで書かれていますが、当日は時系列を追って事実を整理し、それに対する考察という形で非常にわかりやすくお話を聞くことができました。

 

 

「アンネの日記」破損事件を最初に”事件”として報じたのは、日本版ハフィントンポストだといわれています。その記事を執筆したのは、公共図書館を取材し書かれた新書「つながる図書館」の著者であるいがやちかさんでした。

 

 

事件の真相は、刑事責任能力の問えない犯人が自らの主張のため無差別に図書の破棄を行っていたというものです。いがやちかさんの報道では、図書館の蔵書であることが意味を持っていました。図書館の蔵書の破棄は図書館の自由問題にも繋がりますし、その面からの問題も見える報道です。

 

しかし、国際的に広まったこの事件は、海外においては「アンネの日記」が破損されたことが最も重要な問題でした。SWCという組織が極東の島の小さなニュースを拾い上げ、それに対する声明を出したことで、「アンネの日記」破損事件は図書館の蔵書の破棄問題ではなく、反ユダヤ主義に関する問題となってしまっていたのです。

私が国内で報道を見ながら感じていた違和感はこれだったのかなと思いました。公共図書館での自由問題は過去にも例があり、個人の主張にともなって特定の図書が破棄されることは(悪いことですが)珍しくありません。なのに、この事件だけなぜか社会的に大きく報道されており、騒ぎすぎなのではないか、あるいは、図書館の自由問題に帰結しないのはなぜなのだろうかと思っていました。

実際は、図書館の問題ではなく、国際的な宗教・思想問題の話であったのです。果てには日本人の第二次世界大戦での被害者意識(戦争被害者として共感?『アンネの日記』日本で人気の理由 イスラエル紙が分析)なんて話が出てくるのですから、それも当然ですよね。

 

いがやちかさんが報道された際、「アンネの日記」の破損が図書館の問題ではなく、国際的な問題になるということが理解されていたのかどうかはわかりません。国内では図書館の自由問題と絡めた報道はなされていますが(『アンネの日記』事件で揺れる図書館関係者――運営の自由か、閲覧の制限か)、図書館の自由問題の本家本元であるアメリカではその文脈においた報道は(finalventさんが見た限り)なかったようです。

 

正直、「アンネの日記」の破損がここまで国際的な(SWCが声明を出すという行為により)報道のなされるものだという意識が私自身になく、それは第二次世界大戦後の平和主義てきな日本で育った若者だからかもしれません。一歩引いて海外の報道を見ると、その違いに驚き、それが新鮮でとても面白く感じました。

 

 

と、上記のようにクラウドファンディングと関係のないところで大変興奮してしまっていたのですが、クラウドファンディング自体は成立し、無事寄贈の手続きを進められているようです。

被害状況もきちんと調査され、それに則って進められていますが、「アンネの日記」関連本は他の方からも多く寄贈されているでしょうから、それ意外の手段、寄付金などで支援したほうが図書館にとっては使いやすいのではないかなと思いました。事件前より後のほうが「アンネの日記」関連本が増えてそうですよね。それでまた被害者意識がとか言われるたらたまったもんじゃないですが。

 

個人的にクラウドファンディングという行為には思う所は多々あります。良くも悪くも素人の行為なので、それが善意によってきちんと運営できれば良いですが、詐欺行為も可能ですし、「森の図書室」のように違法行為がなぜか市民権を得ているところがあります。これは市民が法について無知なことも大きいと思いますが、教養と啓蒙という論点で公共図書館に繋げることもでき、それはそれで興味深くもあります。

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